背景
桜寄贈100周年
御高承のように、1912年に当時の尾崎東京市長が、2000本の日本の桜を日米親善・友好の証として、アメリカ合衆国に贈られ、ポトマック河畔 (ワシントン)に植えられ、桜の名所になっておりますが、その100年目に当たります2012年に更に広く米国の他の州にも日本の桜を植えて、日米の友好・親善を盛り上げようという挙が2011年に当時の藤崎一郎駐米大使のイニシアティヴ (Initiative) で起動しました。
日本の桜をハワイへ
ハワイ州もこの快挙に同調すべく当時の加茂在ホノルル総領事が、在米植物学者の小山鐡夫博士に助力を求められました。日本の桜は本来、温帯性の花木で、ハワイの様な亜熱帯・熱帯の風土では生育が難しく、過去に於ける類似企画も失敗しておりますことから、小山博士は悩みまして、挙句、日本桜の分布の最南端に近い高知県と温暖で海洋性の気候の八丈島から、仙台屋(桜の園芸品種)とオオシマザクラの2種を選び、それらの種子を高知県協力のもと、高知県立牧野植物園で採集し、当時 ハワイ農務局長 ラッセル コクブン (Russell A. Kokubun) に送り、同局の圃場で発芽させ、苗木に育成し、2012年2月3日に加茂総領事、他ハワイの要人により、ハワイ島カムエラ (Kamuela) のチャーチロー公園 (Church Row Park) に植樹されました。
種子を採取しハワイへ送付するまでの過程は当時園長であった小山博士の指揮のもと、牧野植物園スタッフ一同の並々ならないご尽力がありました。6月中旬に採取した種子は秋頃まで低温処理を行い、10月には冷蔵庫から種子を取り出し、殺菌処理を行ったのち、数々の難しい許認可を経てハワイ農務局に送られました。
ハワイで開花
上記の植樹式は滞りなく終了しましたが、その時残った多数の元気な苗木について、 コクブン局長と小山博士が協議し、”カムエラ (Kamuela) 以外のハワイの地域にも桜を植えよう” と云う運動が始まり、そのための団体 “ハワイ桜並木委員会 (Hawaii Sakura Alley Committee) ” が発足し、ハワイ島のボルケーノ (Volcano) 地区、オアフ島の数か所に仙台屋とオオシマザクラが植えられ、この程、開花になりました。